徒然草(於 ジュネーブ)

2022年3月から仕事でジュネーブに赴任しました(2回目)。日々の生活やスイス、ヨーロッパの風物など徒然なるままに…

スイスのCOVID-19対策の変更(2022年4月1日から)

2022年3月30日、スイス連邦内閣は、新型コロナウイルス感染症に関して現在採られている全ての感染予防措置を廃止するとともに特別事態を終了し、2023年春までを移行期とする決定を発表しました。

1 4月1日より、新型コロナウイルス感染症に関連した特別事態における最後の措置となっている、感染者の隔離義務、並びに、公共交通機関及び医療機関におけるマスク着用義務が廃止されます。

2 今回の特別事態の終了により、連邦と各州の国民保護のための責任の分担は通常体制に戻ります。今後、原則として感染防止策を講じる責任は再び各州が担うことになります。

3 また、2023年春までは、高度な警戒と対応体制を伴う移行期となります。
連邦政府及び各州政府は新しい動きに迅速に対応できるように、引き続き体制を維持し、これは特に検査、ワクチン接種、接触者追跡医療機関の報告義務に適用されます。

4 連邦内閣はスイスのコロナアプリ(SwissCovid-App)を一時的に停止することを決定しました。感染者の隔離義務が廃止されたことに伴い、アプリを有効に継続するための前提条件がなくなったためです。
なお、状況に応じてコロナアプリの運用を迅速に再開するため、必要なITインフラは維持されますが、システム上のユーザーのデータは破棄されます。

5 また、スイス以外の各国への入国に接しての各種証明提示義務は、それぞれの国の決定によります。各種証明(ワクチン接種証明、回復証明又は陰性証明)提示義務が継続しているかは、渡航先国を確認し、渡航の際にはご注意ください。
なお、スイスへの入国については、連邦移民庁が定める入国制限措置が引き続き有効です。査証免除による日本からの入国(90日以内の観光目的を含む短期滞在者)については、ワクチン接種証明所持者、回復証明書所持者及び18歳未満の同伴する子供のみ認められています。
但し、日本の医療機関等が発行する罹患証明等をスイス入国にあたり有効と認めるか否かは、スイスの入国審査官の判断となります。

(2022年3月30日 在スイス日本大使館からのたびレジメールより引用)

これを受けてジュネーブ州政府が2022年3月30日に発表した対策は次のとおり。

(1)4月1日以降も、高齢者や脆弱な人々が利用する特定の施設(病院・クリニック・社会医療施設(EMS)・高齢者施設)では、引き続きマスクの着用が義務付けられます。
(2)4月以降は、ジュネーブ大学病院(HUG)でのみコロナワクチン接種が継続されます。HUGでは、接種済回数や予約有無にかかわらず引き続き接種が可能です。
(3)ホットライン(0800 909 400)は引き続き週7日、午前8時30分から午後5時まで利用可能です。

(2022年3月31日 在ジュネーブ領事事務所からのたびレジメールより引用)

ワクチン接種会場が1か所になる前に接種しておいてよかったです。上記の対策の変更は4月1日から有効になりました。昨日はみぞれや雪が降っていたのでバスで出勤しましたが、確かにマスクをしている人は少数派(ゼロではない)になっていました。あまり声高にお喋りする人はまだ見受けられませんでしたけれど…

職場のカフェテリアはほぼ通常営業(メニューの品数も増えてきました)、グループでテーブルを囲んでおしゃべりしながらランチ、というかつての光景が戻ってきています。

アート・ブリュット美術館(2022年3月27日)

2022年3月27日は、かねてより訪問したかったアート・ブリュット美術館(Collection de l'Art Brut Lausanne)へ。美術館のあるローザンヌには、電車の乗り合わせにもよりますがだいたい40〜50分ほど。ローザンヌジュネーブ以上に坂の街でした。

この美術館のテーマとなっているアート・ブリュット(Art Brut)とは何か。非常に微妙なので安易に要約することなく、館内に掲示されていたパネルから引用します。

WHAT IS ART BRUT?

Art Brut is made by self-taught people who often live on the margine of society, either as rebellious souls or as being that are impervious to normative and collective values. Among them are prisoners, residents from psychiatic hospitals, eccentrics, loners and outcast whose creative expression exists for itself, without any concern for public criticism or what other people might think. They invent their own creative space, seeking neither recognition nor approval. Totally original in their chosen means and materials, utterly singular in their creative processes, they produce works that are untainted by artistic tradition, Thus as a notion Art Brut rests on social characteristics and aesthetic features. 

We ow the original term of "Art Brut" to the French painter Jean Dubuffet (1901-1985). We owe him the museum as well, which opened in 1976 after Debuffet donated his collection to the City of Lausanne. All exhibited works from the permanent collection stemming from Debuffet's donation are indicated by a stamp he devised at the time. 

 

なお、2021年12月17日から2022年5月1日までは、第5回アート・ブリュット・ビエンナーレが開催されていて、展示スペースの半分弱がその展示に充てられていましたが、常設展示との作品の上での境界はあまり意識することはありませんでした(新しいとか古いとか、そういう物差しが当てはまらない)。

どの作家の作品も唯一無二の迫力で、上記の解説にもあるように、どう評価されるとかではなく自身の内にあるものがそのまま形になっている、あるいは内面が剥き出しになっているようで、気圧されっぱなしの鑑賞となりました。


わたしが特に印象深く長く足を止めたのはLaure Pigeonという女性作家の作品。紙にブルーブラックのペンだけで丹念に線を重ねて、不思議な形が生みだされています。見たことがあるようできっとない。植物のようでもあるが動物にも見える。今にも動き出しそうでもあり、動いていたものが凍結したようでもある。

Laure Pegionの作品。ポスターサイズにも関わらず線の密度が濃い

上の作品を一部拡大。線の密度の濃淡と、線自体の濃淡の変化と。


そしてわたしにとって意外だったのは、4人もの日本人の作家の作品が展示されていたこと。Takashi Shuji、Toyo Hagino、Sadanobu Futai、Yumiko Kawaiの作品を見ることができました。Takashi Shujiの作品は黒と褐色と青だけで、鳥や静物を描いているように見えるのですが青が妙に鮮やかで、作品の前に立つとその鮮やかさが逆に不穏な気持ちを呼び起こすようでした。

Takashi Shujiの作品。恐い青だと感じました。

黒い壁、スポットライトのような照明、そこに浮かび上がる作品。ずっと気圧され息を詰めたような鑑賞が続いたため、外に出て春の日差しを浴びた時はほっとしました。美術館の隣にはカフェレストランがあって小さな子供たちの声が響いていました。美術館の中と対角にある情景です。

サンドイッチを頼んだら、良い意味で期待を裏切るご馳走が。

ジュネーブとは逆方向ではあるけれど、帰りにRivazに寄り道をして、広い風景を眺めて気持ちをリセット。

Rivaz駅にて。ここは本当に眺めがすばらしい。

 

ジュネーブ17日目(ブースター接種とテレビの設定)

3月19日はCOVID-19のブースター接種に。

専用のサイトで、オンラインで質問に順々に答えていって、摂取したい日時(最短で翌日、土曜日もやっていて助かります)と場所を選択。食べログでレストランとかを予約するのと変わらないです。

当日はその時間に会場に行って受付。わたしはSwiss Medical Center を選びました(ビルが工事中でどこから入っていいかだいぶ迷いました)。受付でIDと保険証(カードはまだ届いていないけれどアプリで代用できるのが大きい)の提示が、注射直前の問診のところで日本国内での接種証明書の提示が求められました。

ほとんど並んでおらず、打ち終わって待合室で待機している間にPDFで接種証明書が届いたのは驚かされました。10時の予約で接種して、10時30分には届くのですから、すごいです。

 

副反応が出る前に買い物を済ませて、午後はスイスコムのインターネットのモデムとテレビの設定。2018年の滞在時はテレビなし生活でしたが、これでニュースやスポーツを見られるようになりました。今日(3月20日)はしっかり副反応が出ていて肩の痛みや熱がしんどく感じますが、サッカーも結構たくさんの試合が見られるので、家でおとなしくできそうです。

 

ジュネーブ15日目(銀行口座のアクティベーションと身分証明書)

3月11日にUBSの支店で口座の開設手続きを行いましたが、その後、3月15日(火)にキャッシュカード兼デビッドカードの初期暗証番号が、翌16日(水)にそのカードが、さらに17日(木)にe-banking のための契約者番号と暗証番号が郵便で届きました。郵便受けに鍵がついているので特に問題はないかなと思いますし、1日ごとに分かれて届くというのもリスクヘッジですね。

2018年に口座を開いた時はワンタイムパスワードを発行するための機械が届いたり、カードは郵便局に受け取りに行かないといけなかったり(書留的なもの?)しましたが、手続きは簡素化されているようです。ワンタイムパスワードの代わりにSMSで届くコードを入力することで、e-banking のアクティベーションが初めてできる仕組みになっていました。

職場からの振込もさっそく17日に行われ、これでようやく両替してきた現金とクレジットカード頼りの生活から解放されました。

17日には身分証明書(carte de légitimation)も受領。7日(月)に申請してこのタイミングで受け取れるというのは、周りの同僚に聞いても記録的に早いとのこと。

これで公的にも生活的にも、ジュネーブで暮らす基盤が整ったといったところです。

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3月18日朝のレマン湖は波高し

最近のレマン湖は鳥たちの恋の季節のようです。このカモのカップルも、毎朝同じような場所で見かけます。今日は北風が強く、首をすくめて、いつも以上に丸々して見えました。

ジュネーブ14日目(フランス語の体験レッスン、日本からの荷物の受け取り、光ファイバーの敷設)

3月16日は休暇をいただいて、

午前8時からアンサンブル・アン・フランセの無料体験レッスンを受講しました。語学のレッスンを受けるのも10年ぶり以上なのに加えて、マンツーマンという形式もスカイプでのレッスンも初めてで緊張しました。日本語も話せるフランス人の先生で、なるべくフランス語で教えようというスタイルがとても良かったです。別途、ジュネーブにあるフランス語教室(こちらは日本人の先生)の受講も検討していますが、どうしようかしら。

午前9時過ぎに、日通を使って日本から航空便で送った荷物の受領。荷物は3月5日ごろに成田を発って、ロシアのウクライナ侵攻の影響で中東(ドバイ)経由で3月11日にジュネーブに到着。日通の担当の方曰く、やはりいつもよりも時間がかかったそうです。3月15日に税関を通って、ようやく届きました。配達は日通のジュネーブ支店からで配達員の二人も日本人でした。

スイスコムのインターネットとケーブルテレビに必要な光ファイバーの敷設工事、13時の予定だったのが「もう家の前にいるんだけど」という電話とメッセージが11時過ぎに。工事時間は3時間くらいでした。翌朝(3月17日)にスイスコムから、回線は18日から使えるようになるとSMSでお知らせが来ました。連携がスムーズでいいです。機材がスイスコムから届いたら、今週末はのそのセッティングとなりそうです。

 

 

ジュネーブ8日目(銀行口座の開設)

朝一番、9時のアポイントでコルナヴァン(Cornavin)駅前のUBSの支店に行き、銀行口座の開設手続きをしました。今回も2018年の時と同様、カッカッっと上階から降りてきた行員さんと握手して個室に通されていくこのかしこまった対応、ちょっと気分良いです笑

IDとしてパスポートを見せて、国際機関職員としての身分証(Carte de légitimation)を申請している旨の職場からの書類(attestation)を見せて、というのは携帯電話の契約と同じです。その他、住所や電話番号を伝えて(日本と違って行員さんがパソコンのフォームに順次記入していくやり方でした)、いくつか質問に答えて30分ちょっとで手続き終了。一週間以内にキャッシュカードやe-Bankingのための諸々が郵便で届き、その時点で口座は使えるようになってるよ、とのことでした。ただ、クレジットカードの申し込みはCarte de légitimationが必要とのことで、発行されたらまた改めて申請してくださいと言われました。

日本が大好きな行員さんで、パスポートを見せているのでこちらが日本から来ていることは当然承知。

「トウキョウやキョウトに行ってみたいんだよね。」

ジュネーブはトウキョウに比べて小さい街でしょう?どう思う?」

「日本までは飛行機でどれくらいかかるの?」

「日本語勉強したいんだけどどこから手をつけていいかわからないんだよね〜 ジュネーブに日本人会ってある?そこで日本語教室ひらいてないかな?」

などなど、質問が止まりません。結果、おしゃべりしながらの手続きでした(ちゃんとできているはず…、それに要所要所は丁寧に繰り返し説明してくれました。わたしが何度も確認するから)。

最後はなんとアリガトウゴザイマシタと送り出されました。

 

ジュネーブ7日目(スイスパスが届く)

帰宅して郵便受けを覗くと、スイスパス(スイス国鉄の年間半額パス)が届いていました。3月4日(5日前)の夕方にコルナヴァン(Cornavin)駅の窓口で注文してから5日ほど。スイス国鉄、仕事が早い。

フランス語の添え状は、フランス語の勉強に使いました(辞書と文法書を使って解読…)。あとで英訳してフランス語→英語のGoogle翻訳と比べてみよう。

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レマン湖の白鳥

レマン湖はユリカモメのような水鳥、カモの類に加えて白鳥がけっこういます。カップルでいるものもいれば、シングルも。それぞれですね。